既存の検査機の製造元が廃業
改良を加えた後継機を開発!
お客様のお悩み

避雷器メーカーB社様
製造検査に必須の「交流動作開始電圧測定器」の製作者が引退。
後継機を他メーカーに依頼するも不具合が頻発して困っている。
避雷器等の「サージ防護デバイス(SPD)」を製造販売されているB社様。
問題となっていたのは、避雷器等の製造工程内検査(全数検査)に用いる「交流動作開始電圧測定器」です。
B社様が長年使っていらっしゃる「交流動作開始電圧測定器」は町工場の職人が一人で製作したものでした。その職人は当該分野について研究者レベルの知見と高い技術力を有し、測定器はすべてアナログ回路で作られていました。
その職人が高齢により引退し後継者もいない状況となったため、B社様は新たな依頼先を探し、ある検査機メーカーに、同様の検査ができる測定器の製造を発注されました。
しかし納入された測定器を実際に使ってみると、トランス(変圧器)が壊れるという不具合が頻発。また、出力される交流電圧波形が歪むという問題もありました。B社様の検査仕様では「できる限り歪みのないサイン波(正弦波)で検査する」と定められており、その点でもお困りでした。
そこで、職人作の初代機が壊れてしまう前に何とかしなければと、コスモテックにご相談いただいたという経緯です。

サージ防護デバイス(SPD)とは?
「サージ防護デバイス(SPD:Surge Protective Device)」とは、電子機器・電気機器等をサージ(雷や静電気等によって瞬間的に発生する異常な高電圧や大電流)から保護する装置・システムの総称です。
※電線等を通じてサージが機器に入るとIC破壊、絶縁破壊、誤動作などが起こり、故障の原因となります。
「避雷器」は雷サージに特化したサージ防護デバイスの一種で、落雷時に雷サージを地面または他の経路にバイパスして逃がし、電力設備や通信回路に雷サージが侵入するのを防ぐことで、接続されている電子機器・電気機器を保護する役割を果たします。
サージ防護デバイスには、サージを吸収・バイパスする「サージアブソーバ」と呼ばれる素子が内蔵されています。素子にはバリスタやアレスタ等いくつかの種類がありますが、いずれも「普段は電気を通さない絶縁体だが、高電圧時だけ電気を通す」という特殊な性質をもち、サージ防護デバイスの“心臓部”として機能します。
交流動作開始電圧測定器とは?
「交流動作開始電圧測定器」は、サージ防護デバイスに内蔵されている素子の性能を評価するための試験器です。設定した最大電圧(例:AC20kV)まで電圧を上昇させながら印加し、電圧を上昇させていく過程でサージ防護デバイスに流れる電流が特定の電流値(例:1mA)になるように制御します。その特定の電流値での電圧波高値を「動作開始電圧」として測定し、その結果で素子の性能を評価します。
交流電圧波形とは?
「交流電圧」とは時間経過とともに電圧値がプラスとマイナスを周期的に行き来する電圧のこと。この変化をグラフで表したものが「交流電圧波形」です。B社様が求める「歪みのないサイン波(正弦波)」とは横軸を時間、縦軸を電圧値とした波形が歪みのない状態を指します。
コスモテックが解決!

高電圧に関する豊富な経験を活かしてハード的に強固な装置を開発。
電圧波形が歪む問題については、測定器内に独自に開発したフィードバック回路を設置。波形の歪みを是正し、美しいサイン波を実現。
インターフェイス部にはタッチパネルを採用し、操作性にも配慮しました。
課題その1:壊れない(高電圧に耐える)装置を作ること
他社メーカー製の測定器に頻発するという「トランスが壊れる」問題、その原因は明確でないものの、弊社では設定上限電圧に対してかなり余裕をもたせた設計にするなどして壊れない装置を実現。弊社はこれまでに高電圧を扱う機器の開発を数多く手がけてきましたので、その経験を活かすことができました。
課題その2:電圧波形の歪みを最小限にしてきれいなサイン波を実現すること
サージ防護デバイスは「設定上限電圧に達すると、それ以上は電圧が上がらないように制御する」という動きをするため、試験時の交流電圧波形も設定上限電圧値で頭打ちになり、きれいな曲線を描きません。精密な測定のためには高精度のサイン波生成ICを用いる必要がありますが、高精度であるがゆえにどうしても歪むのです。それをきれいなサイン波にするには、測定器内で是正する必要があります。
弊社はアナログ技術を駆使し、歪みを是正するためのフィードバック回路を独自に開発することによって、歪みを最小限に抑えて美しいサイン波を実現しました。
電圧波形(是正前)

電圧波形(是正後)

特定の素子を検査する際、高精度のサイン波生成ICから出力される交流電圧波形にどうしても付随する歪み(是正前の波形)を独自のフィードバック回路にて是正。
課題その3:機能の追加や操作性改善など現代に応じたブラッシュアップ
弊社は、すべてアナログ回路で作られている初代機をリスペクトする一方で、それを再現するのではなく今の時代に合わせたブラッシュアップが必要だと考えました。B社様としても様々な機能アップをご要望でしたので、マイコン等も搭載し、デジタル化できる部分はデジタル化しました。
測定結果のデータ出力をBCD、アナログ、RS232Cなど多数用意し様々な機器でのデータ収集を可能に。
インターフェイス部にはタッチパネルを採用し、シンプルな操作で多種多様な設定・表示が可能に。
安全対策にも配慮し、緊急停止機能も搭載しました。
AC20kV測定器に続き、AC30kV測定器を納入
ご相談を受けて最初に納品したのは電圧AC20kVを印加する交流動作開始電圧測定器でした。
その後、B社様がより強い雷サージに耐える製品を製造されるようになり、それに伴って電圧AC30kVを印加する交流動作開始電圧測定器を納入しました。AC30kV測定器は単に印加する電圧を大きくしただけでなく、AC20kV測定器に比べて電圧調整分解能も20倍に向上するなどブラッシュアップしております。






